恋に落ちる瞬間が
HAL

誰かが恋に落ちる瞬間を見るのが好きだ
それは場所も時間もまちまちだけど
ごく稀に眼の前で起きることがある

静かなティールームで
賑やかなファミレスで
時には通りで立ち止まって

かすかな声が緊張している
眼は伏し目がちでわずかに赤らむ頬
そっと目線が交錯し思いが相手に伝わり
それにそっとうなづくひとがいる

誰かが恋に落ちる瞬間を見るのが好きだ

初めての出逢いもあり
長い知り合いなのに初めてそのときめきに気づく
お互い心臓は速く打っているだろう
からだ全体にかすかな熱を感じているだろう

話は大抵弾まない
二人とも喋る言葉を捜している
けれど気まずくはない沈黙
いつでも初めての時間 いつでも初めての切なさ

その恋は些細なことで終わるかもしれないけれど
恋に落ちている間 どんなひとも幸せでいられる
相手にその気持ちを伝えられなくても

ぼくは誰かが恋に落ちる瞬間を見るのが好きだ
誰をも幸せにしてくれるささやかなオーラが好きだ
そしてぼくは誰かと恋に落ちる瞬間がとても好きだ





Thanks to Mr.Don Henley.


自由詩 恋に落ちる瞬間が Copyright HAL 2016-11-24 03:29:38
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