空の深いところで
元親 ミッド

トンビが、空の深いところで回っている。
 
仰向けで、それを眺めている。
 
今、僕は死ぬところだ。
 
 
 
トンビが、空の深いところで回っている。
 
-無音。
 
静かな世界で
 
 
 
トンビが、空の深いところで回っている。
 
微かに開いた目で、それを眺めている。
 
ストレッチャーが細くなった意識をつなぎ止めるように
 
僕を揺さぶっている。
 
 
 
混濁する意識の狭間で
 
僕は、眺めていたんだ。
 
空の深いところで回っている、あのトンビを。


自由詩 空の深いところで Copyright 元親 ミッド 2016-11-05 04:23:20
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