解放の森
葉月 祐






その森は 迷う為の場所で 






正しさや真っ当さ

綺麗な水 清潔なもの

そんな美しさを含むものが

自分の中で過剰に飽和した時に

一旦総てを遮断する為の

聖域であり 墓場でもある




知っているよ

綺麗な水だけでは

魚は生きられずに絶命する事を




人もまた

綺麗なモノゴトだけでは

滑らかに生きられないという事実も





頭を抱え 泣き崩れる寸前の

わたしの前にだけ

その森は現実の焼き増しを行いながら

足音も立てずに訪れる

その中に厳しさと苦悩の道を敷いて

その先に開かない希望の扉を用意している








そこは 飽和を解き放つ為の場所


わたしは 白い扉に背を預けながら


緑の天を見つめ


折れた羽根の修復を試みている











自由詩 解放の森 Copyright 葉月 祐 2016-10-31 23:00:56
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