深夜病棟
レタス

眠れなくて

眠れなくて彷徨う廊下を
深海魚のように
喫煙室で夜が明けるのを待ち
ぬるい珈琲を啜りながら
紫煙を燻らせ
刹那の夢に溺れては
覚醒の痛みを繰り返す

孤独という麻薬は伽羅の香り

我が身を蝕み
水底をゆらゆらと泳ぐ
ぼくは永遠に太陽の輝きに
抱かれることは無いのか

患者たちは棺のようなベッドに横たわり
軽い寝息をたてている

喫煙室に時折現れ
青白い欠伸とともに
蛍のような煙草を点滅させては
棺に還ってゆく

眠れないぼくは
那由多の時を待ちながら
口元に蛍を銜え
朝の光を待ち続ける




自由詩 深夜病棟 Copyright レタス 2016-10-28 11:25:46
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