部屋の中の満月
葉月 祐

普段はつけずに眠る
豆電球の明かりを残した

それを月に見立てたら
荒んだ胸のうちも
いくらかは
和らいでくれるだろうか


この開きやすい扉の鍵は
まだ 開かないでいる

これを一度開けたが最後
弱音も毒も
言いたくもない事すべて
流れ出して
とまらなくなってしまいそうなのだ


最後の力を振り絞り
私はこの扉を 抑える
誰もが無意識にコントロールしている
当たり前の事を
強く意識しておこなう


手の平で
軽く目元を押さえたまま
眠らなければならない
自分の弱さも脆さも

否定はしない


部屋に浮かぶ
橙色の小さな満月が
滲んで揺れている


ああ


ああ、








自由詩 部屋の中の満月 Copyright 葉月 祐 2016-10-25 00:15:27
notebook Home 戻る