天国の扉
レタス

秒針が寿命を数えている夜
確実に死を迎えるために
耳はその呪文を捉え
無為な夜をすごしてゆく

生まれては死に
死んでは生まれ
嘆きの丘を目指し
重い十字架を引きずりながら
空を目指し
とぼとぼと歩き

その意味を誰に尋ねても
応えるものなど居はしない

天空の北極星に纏わりつく
北斗七星の斧がこの首を断とうと待っている
空はあくまでも無情の頬笑みを浮かべ
断頭の時を待っている

私が犯した罪は数えきれなくて
そろそろ時がやってくる
懺悔する時刻はもう過ぎた
煩悩に苛まれた日々は
刹那の記憶にとどまり
許されるあてもない

姉様
私は何処へ往くのでしょう
うっすらと青い切符を握り締め
何処までも果ての無い旅を続けなければ
ならないのでしょうか

姉様
私に少しのモルヒネを下さいな
痛みとの闘いは
もう疲れてしまったのです

もう時間はないのです
青白い蛾が羽ばたくのは間近なのです
私が私であるために
ほんの少しで良いから
モルヒネをください

そうしたら私の痛みも和らぐでしょう
貴女に慈悲というものがあるのなら
モルヒネを点滴して欲しいのです



自由詩 天国の扉 Copyright レタス 2016-10-23 01:14:48
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