葬儀
葉leaf



君の姿を初めて見たとき
君の顔は白く固まっていた
初めましてのあいさつが遅れたね
僕は君の叔父さんだ
安らかに眠るといい
眠るために生まれたんだよ
君はきっと
君の顔は美しく化粧され
君の体は花弁で包まれた
僕は君の未来を高速で幻視した
泣く君や笑う君
歩く君や大きくなった君
この失われた未来を
僕はそっと君の棺に詰め込んだ
お経は長かった
宗教的なことは分からないが
飾られていた写真に写った君は
葬儀という舞台を超え出ていた
ありふれた生命のありふれた生活が
君の姿からあふれ出していた
火葬場で窯に入るとき
君とのほんとうのお別れが来た
もはや君は君の形を失う
お骨を拾いながら
それでも君は
この葬儀を超え出た空間にいる
現在も過去も未来も
すべてが渾然として活き活きとした空間に
君は生活を続けるのだ
君は葬儀とは一切無関係だった
時間とも一切無関係だった


自由詩 葬儀 Copyright 葉leaf 2016-10-22 17:41:11
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