時の空き瓶
ヒヤシンス

 
 時は大洋の彼方に浮かんでいる。
 私の土地からは見えないが鼓動は確かに響いてくる。
 さてこの時を何に使おう?
 まずはひっそりと旅に出ようか。

 海の見える街は憧憬の彼方に佇んでいる。
 しかし私は確かにそこに存在していたのだ。
 忘れ去られた時の中に私も佇んでいた。
 どうしようもなく過去に捕らわれた私がここに生きている。

 遥かなる大洋が見たい。
 過去を手紙に書き写し、あの浜辺から海に流したい。
 どこかに手紙を入れる洒落た空き瓶はないかしら?

 時はいつでも大洋に浮かんでいる。
 ひと時を手紙に認め机上の旅地図に印を付ける。
 ああ、どこかに洒落た空き瓶はないかしら?
 
 


自由詩 時の空き瓶 Copyright ヒヤシンス 2016-10-15 03:39:31
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