時の空き瓶
ヒヤシンス
時は大洋の彼方に浮かんでいる。
私の土地からは見えないが鼓動は確かに響いてくる。
さてこの時を何に使おう?
まずはひっそりと旅に出ようか。
海の見える街は憧憬の彼方に佇んでいる。
しかし私は確かにそこに存在していたのだ。
忘れ去られた時の中に私も佇んでいた。
どうしようもなく過去に捕らわれた私がここに生きている。
遥かなる大洋が見たい。
過去を手紙に書き写し、あの浜辺から海に流したい。
どこかに手紙を入れる洒落た空き瓶はないかしら?
時はいつでも大洋に浮かんでいる。
ひと時を手紙に認め机上の旅地図に印を付ける。
ああ、どこかに洒落た空き瓶はないかしら?