スパイシー
坂本瞳子

いつからだろう
やらなくてはならないことが
できていなくても気にならなくなったのは

宿題や持ち物を
絶対に忘れることなどなかった
あれはもう遠い昔

いい加減にしても誰にも怒られない
あまりの疲れに何事も手につかない
眠りたいという気持ちだけが空回りしている

稀に街角で見かける緑が眩しくて
大きく息を吸うことが躊躇され
それでも存在することを続ける

できないことがあってもいいのだと
そう思えるようになってからは
また陽射しを浴びられるようになった

月の光に癒やされる夜もあるけれど
風が吹き荒ぶこともあるのだと
身に沁みて
生きることのエグミを味わっている


自由詩 スパイシー Copyright 坂本瞳子 2016-10-14 23:49:36
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