まっくら
田中修子

まっくらにしたよ

虫の声
とぅとぅとぅとぅとぅとぅとぅ
るーるーりーりー
とぅーとぅーららららら
ふぃーーーーーーーーーー

近所のちいさい子のわらいごえ

水溜まりの上を車が走り電車の音
すぐのち
空を飛行機が通る
乗ってるのはどんな人たち
皮膚のいろは黄色、黒、白
きれいだな、みんなひかってる

きこえない音
みえないものを
きくつもり
みるつもり

向かいのマンションの中の
ゆうげのゆげゆらり
きっとデザートはしゃりしゃり梨
甘いにおいべたつく指
ぺろりピンクの舌でなめちゃうよ

冷えるあしさきをくるむ靴下

私の心臓が今日も数を打つ
一秒後は分からない

まっくらにしてごらん
鼻先に、ほら
懐かしいひとのやさしいおばけ


自由詩 まっくら Copyright 田中修子 2016-09-25 21:45:53
notebook Home 戻る