カフェラテの子ら
深水遊脚

久しぶりの喫茶店
ミルクを静かに落とし
珈琲はかき混ぜない

ここでよく見かけた
カフェラテと勝手に名付けていた猫
唇と歯の間を狭めて息を吸い
呼び寄せるための泣き真似ひとつ

みゃお

カフェラテが振り向いて身を固めた


家に籠りがちの日々
新聞で百科事典でも作ろうとするように
本や映画のレビュー
連載小説とその挿し絵
学習用英字紙の外国の風景
週一回の短歌と俳句の投稿欄
大きいものから小さいものまで
集めることで力を使いきった

このお店でふと手に取った
夕刊で知った映画にそのまま行きたいと思う
縁なんてそんなもの
たまたま見つけたカフェラテが
下手な私の鳴き真似に
気を使って振り向いたりもしたのだ

店主が珈琲袋に描いたアートの猫が
過去と未来の薫をつなぐ

よく似た毛並みの仔猫たちが遊びにきている


自由詩 カフェラテの子ら Copyright 深水遊脚 2016-09-23 21:31:07
notebook Home 戻る  過去 未来
この文書は以下の文書グループに登録されています。
コーヒー・アンソロジー