深呼吸
葉月 祐



たとえば読んだ本がつまらなくて
費やした時間を
ただ無駄なものに感じたり

描きはじめた絵が完成しても
なんだこんなもんかと
感動も無かったり

いつも通う喫茶店のコーヒーが
今日は何故か
美味しくないとか

願うように見上げた夜空の色が
褪せて見えたりして
悲しい時も あるんです


特別な事はしない
とりあえず 深呼吸をする
新しい空気が入らなければ
感じたものも枯れてしまうから

些細なことでも
それが大切なもので
いつもよりも
愉しく感じられないなら

空を仰いで 深呼吸ひとつ
新しい空気で からだを満たして

古いもの 一度入れ換えて
大切なものは 残してね

わたしは 何度でも いきかえる

その度に 新しい喜びに出会い続ける
よどみを吐き出し もう一度息をする事で
わたしは 生きていけると思うのです
それだけで 心 活きていると思えるのです






自由詩 深呼吸 Copyright 葉月 祐 2016-09-15 14:49:59
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