晩夏
Lucy

先週までのうだる暑さが嘘のよう
公園の木立は重い影を落とし
鬱蒼と風に吹かれているが
家々の庭に
咲き尽くした夏の花々が
どこか安堵したようにうなだれる
もうここからは秋
静かに目を凝らし
耳を澄まして
終盤へ向かう
クロワッサンの形した雲が
底の部分だけ白く光って並んでいる
風が涼しいから
もう少し遠回りしよう
けれどたちまち日は陰り
もう遠くのほうの
分厚い黒い雲の隙間に
熾火のような夕焼けが
こっそりと泣いている






自由詩 晩夏 Copyright Lucy 2016-09-14 14:48:31
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