雷鳥
ガト

古い温泉街の
しめやかな抜け道を思い出す

真上から照らされる焼けた道は
傾いた屋根の
濃い影ができている

つぶれかけのタバコ屋の角に
赤茶けた古いポストがあって

その手前を曲がれば
叔母の家があった

何十年経っても
子供のころの記憶は色褪せない

時々無性に
あの町に行きたくなる

今はもう
誰も居ないけれど 


自由詩 雷鳥 Copyright ガト 2016-09-13 02:21:40
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