青柿
春日線香

畑の畝を踏みつけて歩くような
大きな台風が過ぎていったあと
庭中にたくさんの青柿が落ちている
渋くてとても食べるどころではないやつだ
うちには昔から柿の木なんて生えてないのに
こういうことが稀にあるのは不思議だ
後始末に困って全部隅のほうに転がしておいた
しかしそれから幾日かが経って
他のことで気が紛れているうちに
跡形もなく消えてなくなってしまったので
あれは柿とは違うものだったのだろうという話になった


自由詩 青柿 Copyright 春日線香 2016-09-07 16:47:32
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