日々の粉
はるな


蟻の角はまだ あるのだろうか
遠吠えや 躓きや 読みかけの頁は
まだあるのだろうか

目をあけて見やる身辺に
ころころと付属する色色を
憎んだり愛したりもせず
ただそれと知って引きずり歩く
滑稽や羞恥を過ぎて、
ただそれと知って引きずり歩く
抱きもせず切りもせず
ただ知ってただ、

つたの洋館も壁のない部屋も
うみへび座もお菓子の箱も皆、
鮮やかなまま終わり続けている
柵も檻も錠や鍵も、
数数の海辺も皆、
静かな爆発に粉粉になり散り散りになり
とりついたのは君の頬
過去の様に微笑んだまま、
終わり続けている色色のなかに
私やあなたはまだいるのだろうか



自由詩 日々の粉 Copyright はるな 2016-09-06 20:42:43
notebook Home 戻る