然もないけれど
もっぷ

夏至までカウントダウン
これからもっと暑くなるのに
さびしさに汗のトッピング
父さんは夏が好きだったけど

わたしは十一月を待ってる
日本は十一月からの半年でいい
毎年 雪の降らない町で

雪を待ちながら

わたしは十二月を待ってる
父さんと猫の命日を抱え込んで泣ける
解りやすい理由
だから一年分を全部泣き尽す

わたしは一月を待ってる
自分で自分を抱きしめながら
お布団に隠れて
世間のすべてに「きらい」とうそぶく

わたしは二月を待ってる
二月の次は三月だから
わたしは二月を待ってる
然もないけれど 三月に生まれたんです

わたしは四月にあきらめを学ぶ
なにごとも学ぶのは良いこと
良いことをするのだから
神さまにきっとゆるされる

ゆるされたからわたしは生きる
これ以上のこたえはないはず
あなたも君も父さんも
みんな聞いて、わたし良いことをしてる

四月に神さまにゆるされて
そしてわたしは部屋と一緒に
五月への旅に出る
うつろいの雨のなか 黒い傘をさして



自由詩 然もないけれど Copyright もっぷ 2016-09-04 16:51:56
notebook Home 戻る