休日のイリュージョン
番田 

雨と熱気で楽しい気分になれた気がした
いくつかの歌手のステージ ずぶ濡れの私
そして拳を振り上げる私はカッパを着ていた  
普段 あまりない そんな経験は


日常は殺風景なオフィスで いつも
空虚な画像を 機械のように 処理しているだけ
あまり それは人には言えない しかし
それが私の役割だった


野性的で元気そうなステージの
挑発的な格好の女性シンガー アメリカ人の 金髪の
ただ少し古臭いイメージなのだが しかし
何か 今の若者も声を上げ それに共鳴しているようだった 


そして それから 雨は上がっていた
そこに見たことのある日本の若い男性歌手が出てきて 
私は そこにいる女の子たちのように 彼の姿を見つめては
ライブ会場の一角で 過ぎた日の青春を その目に感じとっていた



自由詩 休日のイリュージョン Copyright 番田  2016-08-23 23:26:35
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