俯瞰
umineko

薬で眠る
父を見舞った

ゆっくりと
眼裂が開き

ゆっくりと
また閉じる

私は
川に立つ
真っ白な鳥を想う

そう
あの鳥と
同じ視線で

父は
私を見る
私の向こうの
空を見ている

麻薬って
不思議ですよね
邪念が
消えるんですよ

よこしまなものがなくなって
父は
どこを歩くのだろう

川本町の
土手のあたりを
桜のたもと
文士気取りで

私は
願わずにいられない

あなたの文字を
私に下さい

愛してやまない
遠い 何かを

私が
言葉にしますから
 
 
 
 


自由詩 俯瞰 Copyright umineko 2016-08-23 01:15:58
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