いつか、夏の日
青の群れ

今年も夏が終わろうとしていますね
シュノーケルが必要なほどの湿度、景色はヤカンの湯気の向こう側のようで、いかにも夏の、うだるような暑さが支配している季節です

膝の裏に伝う汗を感じて
そういえばまた別のあの日、喧嘩しながらコンビニまでの道を歩いたんです
あれは夏の夜のことでした
ご機嫌とりにアイスを買わせたある夏の日、覚えているのはもう私だけだろうけど確かにそんな日があったんです

プールの水を飲み込んでお腹がいっぱいになったから、あなたにはビールの缶を置いておくね
ニアリーイコールだと思う
楽しいと不健康は紙一重だということはだいたいのひとが理解していることだよ
溺れて泡を吐くあの日のことは、たぶんこうありたかったという願望の話にすり替わってきました

去年の夏の暑さのことなどもう思い出せないけれど、じっとりと張り付いたTシャツで強い日差しから逃げるように歩いていました
夏の天気はすこし攻撃的、その日くらい一日中雨でもよかったのにね
できれば家の中にいて高校野球の中継でも観てさ、きっと小言を言うだろうけれど、それでもこっそり昼間からお酒でも飲んでたほうがよかったよ

いつの間にか空を覆い尽くして、グレー、雨粒が焼けたコンクリートを冷ましていく、黒の斑点
ジュウと音が聞こえそうなほど強烈な雨はあっという間に水たまりだけを残して去っていく
水たまりだけを残して
水たまりだけを
残して



突然のこと

本当に夏の空のように身体中の水分が全部流れ出るようなことが突然起こったんです
まさか最後の会話がSNSの返信になるとは思わないでしょう
でも失われた水分のことなんてをどうでもよかったんです
あの日

次は70年後くらいかなあ
次の夏もきっとうだるような暑さで、きっと息もできないくらいの夏だろうね
地球温暖化はもっと進むんでしょう
何回繰り返すかは定かではないけれど、経口補水液は冷蔵庫に入れておこうかな

そしてまた
いつかの夏の日


自由詩 いつか、夏の日 Copyright 青の群れ 2016-08-21 23:25:51
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