肌の温度 心の温度
紫音

人の群れの中を歩く

東京駅の午前八時

歩く 歩く 歩く

人の群れの中を歩く

新宿駅のお昼十二時

歩く 食べる 話す


肌の温度で溢れているのに

気持ち悪い 吐きたい


この衝動はどこから来るのか


生きたいだけなのに


誰も生き方を教えてくれない

先生も教科書も

父さんも母さんも友達も

誰も生き方を教えてくれない


生かされている人の群れの中で

眩暈で世界がホワイトアウトする


人が群れる廃墟の中

頭の奥が軋み 悲鳴を上げる


生きたいだけなのに

こんなにも生きづらい


人の群れの中で

今日も歩く

渋谷の午後八時


心が嘔吐を繰り返し

体の内側からひっくり返されながら

今日も生かされている


ただ生きたいと願いながら

心が凍えている


自由詩 肌の温度 心の温度 Copyright 紫音 2005-02-28 00:16:16
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