七色の空間
st

はるか昔の         虚数時間がながれていたころ
すべては逆に動き      手をはなすとボールは山を登り
空間は七色の虹のようにみえていた

(うまれる前の記憶が     虹色のなかでよみがえる)   

やがて小さなあわのような  ゆらぎの玉ができ
しみだすように       この世界にとびだした

(いま わたしはうまれた)

この空間は透明で      実時間がながれている

そうだった         すべてが逆だったのだ 
まるでプリズムを通過する  ひかりが逆にすすむように
空間は透明になっている

やがて巨大なエネルギーにより  わたしは急激に膨張してゆく
ビッグバンがはじまり      どんどん大きくなった

未知の物質ダークマターが    その重力で物質を集め
すべての星や銀河を作ってゆく  

未知のダークエネルギーは    その反重力で
膨張を加速させる

あのなつかしい故郷の      うつくしい七色の空間は
はるか彼方に消えてしまった

いったいどこまでわたしは    ひろがってゆくのだろう
神のみぞ知る          138億光年をこえてまで

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虚数時間は、ホーキング博士の宇宙の始まりについての、無境界仮説
のなかで、量子論の波動方程式に道具として使われたものです。現在
は、道具として使われた虚数時間が実際に存在していると、博士は思って
いるようです。
宇宙には何があるのか・・・・
実は、“見える物質”は宇宙のわずか4%を占めているにすぎません。残り96%
を占めるものはいったい何か。それが 「ダークマター23%」 と「ダークエネルギー
73%」です。



自由詩 七色の空間 Copyright st 2016-08-11 06:48:28
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