始発と交わる地平線
あおば

         160726

大至急送れの信号弾が飛んできた
地平線の彼方からの味方からだね
次は7色の花火 センコウは消えて
敵兵ばかりがうろうろしているから
気をつけろの暗号さ
コマーシャル付きの1尺玉も揚がる
成人を祝っての友人たちの期待を込めて
真っ暗な空一面に花を咲かすのさ
羨ましいと思う君は今まで何をした
白を切ってはトランプ占いばかりして
何もできなかったではありませんか
線香花火が足下で囁くように呟き
ネズミ花火が茶化すように騒ぎ出し
夜更かしをした僕たちは始発電車を逃し
呆然としてまだ暗い西の空を見る
轟音を友に待避線で待つ僕たちを
特別急行列車が追い抜いてゆき
ちらちらと瞬くテールライトの残像に
先祖の霊を供養したくなったが
月日の流れの速さは特別急行列車をも凌ぎ
何の取り柄の無い僕でもどんどん老いてゆくのさ
それが人生ですと精霊たちは燐の球を点し
幼い子らを脅かしては面白がっている
土葬を廃した国土では見られなくなったねと
陛下の意思を尊重しながら無縁仏に形ばかりの
念仏を唱えた



初出「即興ゴルコンダ(仮)」 投稿作を少し修正。
  http://golconda.bbs.fc2.com/
  タイトルは、さわ田マヨネさん。



自由詩 始発と交わる地平線 Copyright あおば 2016-07-26 16:12:41
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