しちぶんめの夏
あおば

           160728

猫カフェの無料ドリンク券を押し頂き
帽子屋へ急ぐ
この暑さでは帽子が無くては耐えられない
お目当ての帽子屋には女物の装身具、
アクセサリーなどが所狭しと輝いて
男物の帽子は申し訳ないと言うように
わずかばかりが店先で頭を下げる
これが現実なのだ、購買力の乏しい男達
彼ら相手では商売が成り立たない
奥のレジの女性店員に男物のハットが欲しい
とねだり、適当に見繕ってもらいお金を払い
お手間を取らせましたと礼もそそくさ被って
アーケードの奥に進むと再び帽子店
そこには無数の帽子が所狭しと陳列してあり
アクセサリー類や光るものは見当たらない
ああ、ココが本物だったのだ
さっきのは狐のお店だったのかなと
コホンとわざと咳をしてから頭にそっと手をやると
帽子はちゃんと載っていて蕗の葉では無かったので
一安心
あたりをこっそり伺うとお久しぶりの知り合いが
ひょっこりと何処かから現れた
もしかしてと彼の現れたあたりを見渡すと新築の白い家
まだ足場が組んだままだから完成間近というのだろうが
魚を煮る匂いが漂ってきて人の住んでいる気配がした


初出「即興ゴルコンダ(仮)」
  http://golconda.bbs.fc2.com/
  タイトルは、阿ト理恵さん。




自由詩 しちぶんめの夏 Copyright あおば 2016-07-28 17:32:50
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