重い身
さわ田マヨネ

スーパーマリオカートというレースゲームの最後にはレインボーロードってステージがあって、まっ黒な宇宙空間みたいなところに浮かぶ七色の床の上、マリオたちが走ったりぴょんて跳ねたりするんだけど、ぼくはマリオカートがへたくそだったから、よくコースアウトしちゃうのね。コースアウトするとだからマリオとかがまっ黒な空間になげだされるんだけど、なんか落ちてっちゃうの。重力に引っぱられながら、ここはどんな世界なんだろうって、小さいころ、たまに思ってた。



たちあがるのは大体において夜だった。スクリーンセーバー、七色にうねる画面をぼんやり眺めながら、アートシーンをこまめに追っかけたりするのって、なんか大変そうって、きみになげたりしていた、ぼくはスリーディーエスを持ちよって、ポケモンバトルとかしたい、きみはロケットペンシルにひもをくくりつけたりして、時間を潰していた、そういうのとてもぜいたくだなって、そんな風に思うよ。



オールオーバー。スーパーフラット。あんまり意味はわからなかったけど、覆いつくしたり変質させたり拡張したり、ぼくたちはそうやってどこかへいきたいのかもしれない。遠い未来、いつか電子の世界へいけるようになったら、ブックマークでできた星空だとかを、指さしたり、そういうちょっと安直っぽいこと、するんだろうか。できることならぼくはゲームの世界へいってみたい。きみの青いポケモンがしんだ日の朝に、ぼくはなんて声をかけるだろう。きみは青いポケモンのことがとても好きだったから、泣いているんじゃないかって、そう思うんだけど。


自由詩 重い身 Copyright さわ田マヨネ 2016-07-22 19:38:48
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