白と底(夜と昼)
木立 悟





窓を閉じる音
主人の居ない蜘蛛の巣の夏
自ら内を選んだ羽
硝子のそばから離れない


骨の寺院
どこか低いところから来る雪
小さな本をめくる
風の夢の終わり


多重の層に横たわる指
どう動かしても触れてゆく
しずくしずくしずくけだもの
空に落ちる光の紋


静かな片目
伝う ふるえ
水の底の声
近い 空の径


涼しくひとりの予感を抄い
指はひとつの音を分ける
波はふたつ
向かいあい 笑む


いつのまにか夜
いつのまにか昼
陽に灼かれることのないゆらめきが
手のひらに甲にこだまする


反射 反射
到かない虹
手わたす指から
こぼれる白


暮れの涙
灯は昇り 重なり
窓の内に囚われるものたちの
小さく割れたまたたきを運ぶ

























自由詩 白と底(夜と昼) Copyright 木立 悟 2016-07-21 21:09:22
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