涙をミルク瓶に
かんな



涙をミルク瓶につめると海に流れる
浮くとか浮かないとかは
もんだいではない
夜の水面にぴか、るような愛なのか
恋なのか杞憂なのか
わたしの、恋情などほうっておいて

ロシアの夜空をきみが描くと
懐かしいようなでたらめなような、気分に
なり新潟の雪化粧をまとった
どこかの国になってしまう
信号機は縦でコンビニエンスストアの
入り口には囲いがある

いつか言おうと思っていた
(つまり言わないでしまった言葉は
 (つまりもう永久に言えない言葉は

真夜中が、似合うね
自販機の明かりにキスするくちびる
もうシガレットを加えてないきみの、
夜空を仰ぐ視線には誰との、
将来が見えていたのか
交差点に差しかかっていたね、誰かが

明け透けにいうけれど
 きみを題材にした作品はだめになる   
 や、
 だめにするんだ何度でも書くために

伝えられなかった言葉は、航海にでる
ミルク瓶で涙と共に流れ出て。
そうしてわたしは願っている
長旅を終えて誰かの手に取られ
抱きしめられる、それがわたしであることを






自由詩 涙をミルク瓶に Copyright かんな 2016-07-21 12:55:20
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