幻想食
レタス

突然現れた
たぬきうどんの幻影がぼくを襲う
少年の頃に食べたきり
ご無沙汰していた
きつねうどんではどうも具合が悪い
コクリとした胡麻油の揚げ玉でなくてはならないのだ
ほうれん草と鳴門巻き
ネギをたっぷりと
下品にずるずると啜りたい

バロックを聴きながら
たぬきうどんとは如何なるものか
フレンチでもイタリアンでもなく
外せないたぬきうどん

あのバッハもきっと
たぬきうどん協奏曲を奏でていただろう


自由詩 幻想食 Copyright レタス 2016-07-09 23:35:19
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