愛そうと試みている
モリマサ公

顔の無い自分の顔の部分について考えている
なぜか?
非常識だからだ
洋服を着たからだだけが
ぺたんこになって地上に映し出されていた
これからもわたしたちは
なんとかマップにマッピングされていく

上空を
罪の意識の無い人工衛星が
紙飛行機のようにすーっと横切っていく
温度だけでしかないかたまりになって
生きているというだけの純粋なわたしたち

鼓膜が揺れている間
その意味について考えている
という現在が通り過ぎる瞬間ごとに
くりかえし現在が現れて
地上ではいくつかの建物が崩壊して瓦礫の山ができた
退屈とは?という定義の中にもスピードがあり
目を閉じるスピードには無が宿った

加速していく永遠の退屈をきりとって超える「こころたち」
無重力そのもの
残酷な風景の中をゆっくり細かく砕けながら漂い
顔が無いわたしたちの顔の部分にゆっくりと埋まっていく
その風景はとても平坦で終わりの無い地平線だった

顔の無い自分を愛そうと試みる
蒸発しては降り注ぐをくりかえす水分が
体のうちがわで行き場を見失ってたぷたぷしてる

鼓膜が揺れている間
その意味について考えている
残酷な風景が横切っていく
地平線に沈んでいくあらゆる熱と光と闇
顔の無い自分がYouTubeにアップロードされる前に削除されていく
無重力の「こころたち」が画面いっぱいに映し出されて

空からは
ついに
雨が降り出してしまう










自由詩 愛そうと試みている Copyright モリマサ公 2016-07-05 19:17:12
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