空の時計と
由比良 倖

死にそうな色したアイスだけ食べる人も虹みたいに揺れている


食べ物で模型を作る生きている理由の無さを罪に問えない


強さとは不安、切なさ、優しさの全ての傷を負うことだから


果たしても理知と怠惰をやめてから水は生きても死んでもいない


僕たちに嘘と弱さを与えない//鼓動を捕食して割れた爪


実在があなたを充たすいつかの日、私をそこに入れてください


後悔は、捨てて、買いたい、衝動の、弱さを、夜を、千切り取りたい、


目の底の、虚ろな空で笑うだけ、骨をベッドに打ち付けるだけ


夜の部屋、LEDの光の輪、世界のことを好きになりたい


「君がいてくれさえすればこの世界全てを好きで生きていけるの」


終わりの日、躁鬱さえも完璧な、日に充ち足りて、血は微笑して、


大切な会話は膜に閉ざされて、夜は更けゆく、指が泣いてる


一日に寄り掛かりつつ揺れながら世界と君と右の手首と


「星たちを襲う季節の中心は三十六度ちょうどくらいで」


浅瀬から冷えた、薬を舐め取って君と銀河の「おはよう」を聞く


宇宙船みたいに破綻していたいどこまでもどこへでもかなしく


短歌 空の時計と Copyright 由比良 倖 2016-06-30 19:57:27
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