アンダー
川津 望

六月の歩行
脳は油漬けのツナ缶だ
余分な油分を切らないと会話すらできない
スーパーの
しんせんな野菜とおじさんの動作は甲殻類の一種
れたすを手ではかるように
わたしの頭の重さ
見直してくれ

スーパーでは
わたしは発狂しているため
すみやかにこの場所から
消えるべきで
そうすることで今、ここにふくしゅうする
もろはと言えば紙や皮膚に刻まれるものは
みんなそうだから
いないわたしは
失われた市場だ

蚊取り線香のにおいと共に
冷気がとざされ
鼻の先で鴉が生ゴミをつつく
あふれる人間がわたしに土足で入ってくる
「缶切りをください」


自由詩 アンダー Copyright 川津 望 2016-06-27 13:55:25
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