服毒説
ただのみきや

足音は足跡から乖離する
帯びた意味を秘めたまま
けむりのように漠然と白い
地球を見上げる朝に
ちぎられた円環のビーズ
偶然が描いたあなたの星座を
子猫がシャッフルする
無邪気さと予感の熱力学で
観測者は無に帰す
見ないで信じる者が食卓でこっくり
夢の中で開く花のように
宇宙 いま 萎み始め
火を灯された造花のように
足跡は足音を喪失し
とり残されたまま老いることも出来ず
月のように傷だらけの
蒼白な 魂に吹きすさぶ
風の 文字だけが 去来し
誰のものでもない記憶を
手繰りよせ
回帰させる
麗しき煉獄の日々
あなたひもとかれほら
あられもない服毒の祝祭
脳内規制の箍を外した
零度のくちびる立って
みみの裏からうなじ
火照る意味深な絵空後


  
       《服毒説:2016年6月18日》







自由詩 服毒説 Copyright ただのみきや 2016-06-25 20:22:45
notebook Home 戻る