レタス

地下10,000mに眠ったなら
誰も私に触れることは無いでしょう
珪酸化合物の化石となって
洞窟の底で
那由多の刻を過ごします

澄み渡る地底湖には
金粉の小雨が降ります

時折見る夢に
幼い少女が紅葉のような手のひらを開き
私は其処に
そっと緑の小さな壺を乗せて
この壺に君の骨を入れて
地上に生まれ変わり
素敵な人生を送りなさい
と言うのだけれど
少女は返事もせずに
私の瞳をじっと見つめるのです

少女は金龍の娘でした
地下に眠る私に慈愛に満ちた
金の小雨を降らします
何時も少しだけ肩が暖かくなって
寂しさも和らぐのです

少女の名前は解りません
そうだ…
天上の桃
桃ちゃんで良い
さぁ 行きなさい
地上へ
突き抜けて
天上へ行きなさい

私はずっと此処にいるから
時々金の雨を降らしてください

少しだけ幸せになれるから








自由詩Copyright レタス 2016-06-22 17:39:42
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