でっかいペンギン
1486 106

修学旅行3日目の日
自由時間の合間に映画でも見ようと
僕達は大阪の適当な駅で降りて
エスカレーターの近くにいた女の子に声をかけた

そしたら不気味なくらい満面の笑みで
自分のスマホの取り出したかと思うと
映画館の住所をボイスメモに記録した後
それを両手で差し出して言った

メアドを交換して下さい

怖くなって逃げ出したけど
その日からずっとつけまわされた
彼女の姿は一向に見えないけど
後ろから押されて車椅子にもなった

俺は正体を突き止めてやろうと10年間調べ上げた
スマホに表示された名前を頼りに
どうやら彼女はずっと前に死んでいたらしい
あの日差し出された映画館の入ったビルから飛び降りて

俺は彼女の霊と決着をつけるため
今は廃墟となったビルに乗り込んだ
だけど実体化した彼女の霊に追い詰められていく

調理場らしき場所で逃げ場を失った
飛び降りようと窓を開けたけど地面は遥か下
錯乱した俺は彼女の霊を返り討ちにするべく
近くにあった懐中電灯で彼女の霊の頭を何度も打ち付けた
















気がつくと僕は大阪のデパートにいた
手元には血塗れの懐中電灯
現場を目撃した人の証言はこうだ
無数の小さなペンギンが飛び回ったかと思うと
錯乱した高校生の男の子がいきなり
通行人のおじさんを襲い出したと


自由詩 でっかいペンギン Copyright 1486 106 2016-06-15 09:51:41
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