レタス

その名は釈迦という
森羅万象に眼を奪われ
哀しみと美しさに
その眼差しを静かに落とす

彼は旅を続け
悲しみを喜びに変えて
今も我々を救済し続けている

彼は神や仏といった
遠い存在ではなく
我らと変わる者ではなかった

花を手にとり
命の儚さを言葉に変え
八万の経巻にあらゆる現象を尽くし

極微と極大の連なりを示唆した

彼は小鳥のような食事を採り
慈悲を伝え
未来永劫の
輪廻を解き
青い空に消えて往った

その残り香は
死の静けさを示す伽羅の香りであり
生の歓びを現す白檀の香りであった


自由詩Copyright レタス 2016-06-09 22:27:11
notebook Home 戻る