やまうちあつし

庭の片隅に
見知らぬ動物がいた
大きさは子供のカバほど
象のような顔をしているが
あれほど鼻は長くない
気になるのは目
いつでもうるうるうるおって
いまにも涙があふれそう
暴れるでもなく
吠えるでもなく
ただじっとしている
私はなんだか懐かしく
ぺたぺたとさわる
そうすると草を食む
目的もなくそこにいる
ぺたぺたとさわる
美しい夕焼けを見ている
だから
体表はやさしい橙
ひとしきり遊んで
部屋に入ると
家人らは驚いて指をさす
どうしたのその顔
鏡に写して見てみると
私の両目はうるうるうるんで
とても涙があふれそうだよ


自由詩Copyright やまうちあつし 2016-06-09 19:17:46
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