冷えた天使/見えつつあるものの内壁へつたう光
草野春心



  見えつつ
  あるものの内壁へ
  つたう光へ、冷えた天使をみつめていた
  腫れ房を成す、硝子景ガラスけいの、あなたがたの
  優しさから眼をそむけた
  見えつつ (くらがりを泳ぐゴンドラ
  あるもの (あさいろの夜にならべて
  の内壁へ (音瘤おとこぶにひそみ、蛇たちは
  つたう光 (うつくしい毒をむすんで
  へ、冷え
  た天使を
  みつめて
  いた……。 頬杖をつき
        透きとおっていく
        やわらかな自我たちが
        あなたの優しさに融けいり
        やがて凍てつくように結びつく夜




自由詩 冷えた天使/見えつつあるものの内壁へつたう光 Copyright 草野春心 2016-06-04 09:54:53
notebook Home 戻る