発火
葉leaf



積もっていく時計の針に
鮮やかな液体がこぼれた
限りなく近い原野では
いつでも表土が逆襲されている
試すことなど何もなかった
挑むことなど何もなかった
すべての仮定は欺瞞的だから
ただ行うだけでいい
電子が身近に星座を作り
流体を新しく編み直した
固体はこんなにも憎まれているから
静かに被害の火をともす
亀裂も空洞もなく
どこまでも完全に充満した中庸
固体はこんなにも影を作るから
丁寧に均衡のための火をともし続ける
電線と電柱に接続する住宅
送電線をさかのぼれば
必ずどこかで途切れているから
途切れたところに固体はおもむろに顔を寄せ
非生命を証明するための火を吐く


自由詩 発火 Copyright 葉leaf 2016-05-31 06:51:12
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