鳴神夭花

僕らは否定される
友人に 隣人に 名も知らぬ誰かに
僕らは否定される
親に 師に 君に 貴方に
「うつくしくなれないおまえは所詮蛾なのだ」と

僕は一度たりとも蝶になりたいと云っただろうか
誰か僕の声に耳を傾けただろうか
僕は 僕らと人称を大きくして
一人ではないことを主張しようとする

真っ暗な森の中で
否定を覆す気もなく

蝶にも蛾にもなれないまま
蛹の中で蹲っている


自由詩Copyright 鳴神夭花 2016-05-28 01:00:11
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