電車、通過待ち
縷々流 縷々

例えば今、口内に広がる血の味を
言葉で拭いさることができないように
例えば今、君の首に絡まるその縄を
わたしの言葉でちぎることが出来ないように

言葉など、非常に無意味なものであるのだ
それなのに
飴玉1つの価値にもならぬものを
ナイフの代わりにもならぬものを
なぜわたし達は紡ぎ続けるだろう

心を加工するだけの行為を
飽きもせず、なぜ

なぁ
血の味を紛らわすために
わたしに飴をくれないか
鉄の匂いを檸檬の香りに変えたいのだ

君がわたしに沈黙を要求しても
言葉をなくしてたまるものか
君の首に絡まる忌々しい過去を
わたしが切ってみせるのだ
だから。

なぁ、
わたしに飴をくれないか
代わりに君に珈琲でも奢ろう


自由詩 電車、通過待ち Copyright 縷々流 縷々 2016-05-27 22:40:40
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