夢と現の境で瑞々しく花首垂れる者あり
ただのみきや

   さえずりは無制限に落下して
 漲る心臓
内側からほどけ展開する
うすべに浮遊都市
生贄のメリーゴーランド
空を蕩かす視線を
 火の羽衣に包み
牡丹 
  ゆるりと爆ぜ
     ほぞから 蟻が
  こぼれて 蟻が
 こぼれて 咬んで 文字の
酸い匂い 逆光に
おまえのしろい腕がささえも
なく 蛇のように つかみ
  かけた  朦朧が重心を得て
     夜へ
 駆け上る
聞えない音が
 刺青する
月の裏のようなおまえの耳の空白を散りながら流れ
牡丹
  正夢に
     狂って本性




     《2016年5月21日:夢と現の境で瑞々しく花首垂れる者あり》









自由詩 夢と現の境で瑞々しく花首垂れる者あり Copyright ただのみきや 2016-05-21 21:35:21
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