ABCマートの入口で
番田 


私は目的もなく日曜日
渋谷で待ち合わせた 友人と
ぼんやりと テーブルで飲んでいた
240円のアイスコーヒーを


街は 休日
いつもそこにいた私の休日の時間
見るたびに思い出したそこでの穏やかなひととき
ドトールの 電車の中から見えるあの看板に


八百屋には ぶどうがもうじき並ぶ頃
サンマが売られる頃になっても あの魚屋で 
太いサンマを買うことはもう無いのだろうと思う
潰れてしまった魚屋の前に立つ時に


名前の知らないざわめく人の中で 
いつも彼の放つ言葉を聞いていた 
耳に響いた 彼の言葉の知らない名前について考えながら 
言葉そのもののように私はなって


自由詩 ABCマートの入口で Copyright 番田  2016-05-15 21:08:51
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