回帰
レタス

思いが通らず
彷徨う旅の途中
これから入る螺旋のトンネルを前に
灰色な冷たい吐息をつく
やがて出口はあるのだろうけれど
眼を凝らしても先は見えない

異形の者に出逢ったら
どうしよう
幼い頃に首の無い人から梨をひとつ貰った事がある
そうだ
ぼくはバッグにしのばせた紅い林檎を持っている
それをひとつあげればいいんだ

そこが迷路になっていたらどうしよう
ぼくは煙草を持っている
風の通り道を得られれば
何時か道に出られるはずだ

トンネルからの風には微かな潮の香りがする
それに波のような鼓動が聞こえてくる
これからぼくは母のもとに戻るのだ

怖いはずなどないんだ






自由詩 回帰 Copyright レタス 2016-05-14 13:57:17
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