街角
Lucy

仔犬を胸に抱いた少年
あるいは
眠っている赤子を
抱っこ紐で抱えた母親
のように

買ったばかりの
ラナンキュラスの
花束を
両手で持ち

包装紙の隙間から覗いて

微笑んでいる
老婦人

その足元で
急速に冷えて行く
夕暮れの横断歩道
に揺れている
芽生えたばかりの
緑の葉の影

の一枚一枚を
白線の間に縫い付ける

何億光年の闇を潜り
この星に届いたばかりの
既に存在しない星雲からの
既にない
ひかり




自由詩 街角 Copyright Lucy 2016-05-12 20:21:19縦
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