灰色の瞳
レタス

まつ毛の長い君の
潤んだ瞳の先に小指をあてて
銀盤の満月に照らされたのは
何時の事だっただろう

しなやかなブロンドの髪に指を絡ませ
水晶のような
口づけを交わした
あの夜
夢の欠片が
ぼくを侵す

いま君は何処に居るのかさえ解らなくて
古びた手帳を捲ったのだけれど
其処に
君はもういない

静かな刻を過ごすために
今夜も琥珀の液体に溺れ
紫煙を吸い込み
白い灰を落としながら
紅いカウンターにもたれて
刹那の夢を垣間見る

薔薇より美しい瞳のなかで
ぼくは永遠に遊び続けていた

真っ赤な血脈が氾濫しても
君はもういない

彼女を探し
エルドラドを求めて
真鍮の羅針盤を見つめ
今夜も明日の航路を占う





自由詩 灰色の瞳 Copyright レタス 2016-05-10 17:16:32
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