灰色の瞳
レタス
まつ毛の長い君の
潤んだ瞳の先に小指をあてて
銀盤の満月に照らされたのは
何時の事だっただろう
しなやかなブロンドの髪に指を絡ませ
水晶のような
口づけを交わした
あの夜
夢の欠片が
ぼくを侵す
いま君は何処に居るのかさえ解らなくて
古びた手帳を捲ったのだけれど
其処に
君はもういない
静かな刻を過ごすために
今夜も琥珀の液体に溺れ
紫煙を吸い込み
白い灰を落としながら
紅いカウンターにもたれて
刹那の夢を垣間見る
薔薇より美しい瞳のなかで
ぼくは永遠に遊び続けていた
真っ赤な血脈が氾濫しても
君はもういない
彼女を探し
エルドラドを求めて
真鍮の羅針盤を見つめ
今夜も明日の航路を占う