停滞せざるを得ない社会
北村 守通

王様は居る
どんな世界にだって
王様が要る

様々な名前で
あるいは
名を持たず

王様を倒すためにも
王様が要る
新しい王様を選ぶためにも
王様が居る

あるときには
DNA鑑定により説明可能な
血のつながりによって
あるときには
DNA鑑定の対象に収まらない
血のつながりによって
それらは
受け継がれる
再生産される
製造元の名称が変わることはあるけれども
基本的な
製造方法は変わらないまま
王様は生産される
特許を気にする必要は
もはやなく

 皆が皆

どこかで
どこかの
王様を生産して
細かいローカルルールに従って
王様を操作している
王様という盾で
王様という免罪符で
王様の後ろに隠れて


  やる
   やりたいように


上手くいかないことは
ヒトの責任ではなく
王様の責任となる
王様の性能が理由となる
王様の製造元の責任が問われる


   けれども
   どの王様を使ったとしても
   結局のところ
   劇的に
   何かが変わるということでも
   ないのだけれどもね


大量消費に堪えかねて
コスト削減の煽りを受けて
国民的な存在の
王様を
開発し
製造することは
今や
なかなか
難しい


自由詩 停滞せざるを得ない社会 Copyright 北村 守通 2016-04-30 20:49:21
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