かろい夏をわらう
印あかり

シチリア陶器のにおいが
肺にひやりと触れて
食卓に佇むかすみ草は
ほろほろと崩れだす

心を涼しげにもち
からりと笑え。

重たい熱風に転ばされた
ちいさな天使
痛くとも泣くな。


祖父がさいごに見ていた
教会の天井の

指先が結露するような冷たさを
ただ、推し量っていた
去年の夏を

あなたに教えよう。
もうわがままなど言えないように

今年の夏を
軽やかに愛せるように


自由詩 かろい夏をわらう Copyright 印あかり 2016-04-29 15:50:42
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