冬の履歴書
A道化




優しく濡れていた
公園の池が凍りわたるという法則を
冬だから寒いのは当たり前でしょうと片付けた母の
手の平の保温性が
今も強く、わたしの身体へと、わたしの眼へと
柔らかいままの金魚を、柔らかいまま柔らかいまま
金魚から順に池が凍ればいいと吐く私の、身体へと、眼へと
今も強く、今も強く掲げるのに
嗚呼、この、私の息
香らず、凍る、このアルコールの息
香らずに凍る、このアルコールの息の
香らず凍るという法則を
わたしは冬だからと片付け
そうやって空欄を冬で埋め
欄外には、はみ出さず
空欄にはただ、冬、と
嗚呼、ただ、冬と言い張るの



2005.2.24.


自由詩 冬の履歴書 Copyright A道化 2005-02-24 02:05:58
notebook Home 戻る