みどり うたかた Ⅱ
木立 悟





木のかけらと
あたたかい水が
午後と夜の境いめに
蒼い浪となり流れ込む


錆は子らの名をくちずさみ
鉱は荒れ野に伏している
陽を転がす指や指
流れの内に華やいでいる


重なるもののつらなりと
置き去られるひとりの隔たりが
雨音のように互いにかがやき
星と星のはざまを埋める


美しさも醜さもなく
ただ忘れ難さだけがあり
岩の村をすぎてゆく
音の服を着た子の見つめるほうへ


水底を流れる四角い泡が
空を緑になぞりつづける
河口にわだかまる小さな羽
浪の下の 光の径


死んでしまった子どもたちが
何も言わず微笑みながら
夜の水を歩いてゆく
やがて消え去ることを知りながら


瞳の奥を旋る晶
ひかり くずれ 水に落ち
鉄の柱 鉄の声
震えが描く水紋を視る


夜はざくざくと朝になり
霧のなかに立つ仮面の生きもの
羽と音と笑みを持ち
見える見えないのはざまの緑に
ゆうるりとゆうるりと振り返る



























自由詩 みどり うたかた Ⅱ Copyright 木立 悟 2016-04-06 07:11:25
notebook Home 戻る