植え込み
北村 守通

花なく
つぼみなく
撒き散らされた
土を
砂を
一身に受け
忘れ去られた者
振り向かれることのない者


かつて
青く輝いていた
一つ一つが
土の色してうなだれて
土にかえろうとしている

  それでも

撒き散らされた
土を
砂を
一身に受け
跳ね飛ばされた
つぶてを受け
切り裂く風に
突き飛ばされ

  それでも

  ただ
  ただそこに
  立っている
  忘れ去られた
  役割を
  忠実に
  最期まで
  果たそうとしている


やがて


空っぽになったとき
お前の居た場所が
お前の居るはずだった場所が
空っぽになったとき
あるいは
お前の居た場所に
お前の居るはずだった場所に
代わりの者が据えられたとき

人々は
一瞬だけ思い出すのだが
やがてまた
当たり前のこととして
忘れ去る


  忘れ去られたということは
  当たり前になってしまったということなのだ
  当たり前にされてしまったということなのだ


自由詩 植え込み Copyright 北村 守通 2016-03-29 11:24:32
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